『酩酊とうたかた』
総合評価 :4.0

タイトル酩酊とうたかた
作者グリコーゲン
掲載誌COMIC E×E
ジャンル:OL・パイズリ・ラブコメ

グリコーゲン先生による、『酩酊とうたかた』は、仕事では互いを意識し合うライバル同士が、酒の席をきっかけに胸の内を少しずつ覗かせていく大人の恋愛作品だ。

営業部で成績を競い合う麻宮と岡辺は、周囲からも実力者同士として知られる存在。

しかし、その張り詰めた関係の裏には、誰にも見せられない感情が静かに積み重なっていた。

物語は飲み会の帰り道という何気ない場面から動き出す。

普段は隙を見せない麻宮が酔った姿をさらけ出すことで、仕事中には決して見えなかった素顔が浮かび上がる。

本作は、強がる人ほど本音を隠してしまうという、人間らしい心理を丁寧に描いた作品である。

商品価格等について

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キャラクターの魅力|麻宮と岡辺が抱える不器用な距離感

グリコーゲン「酩酊とうたかた」の紹介画像
出典:グリコーゲン「酩酊とうたかた」

麻宮の魅力は、完璧なキャリアウーマンとして振る舞う一方で、恋愛には驚くほど素直になれないところにある。

職場では岡辺へ対抗心を燃やし続けているが、その感情は仕事への競争意識だけでは説明できない。

好きだからこそ近づけず、意識するほど態度がぎこちなくなる姿には親しみを覚える。

一方の岡辺は、麻宮の挑発を真正面から受け止めることなく、自然体で接する青年だ。

だからこそ彼は、麻宮が見せる普段とのギャップに戸惑いながらも、少しずつ彼女の本音へ気付き始める。

対照的な二人だからこそ、その距離が縮まる過程には心地よい説得力がある。

構成と演出|『酩酊とうたかた』が描く本音の見せ方

グリコーゲン「酩酊とうたかた」の紹介画像
出典:グリコーゲン「酩酊とうたかた」

本作は、「酔い」という状況を単なる演出ではなく、心の壁を取り払う装置として巧みに活用している。

普段なら決して見せない表情や言葉がこぼれることで、読者も岡辺と同じ目線から麻宮という人物を見つめ直すことになる。

さらに終盤で示される「酔ったふり」という解釈が、物語全体に新たな意味を与えている。

もし計算だったとしても、それは相手を試すためではなく、素直になれない自分がようやく踏み出した小さな勇気だったとも受け取れる。

だからこそ読み終えた後には、麻宮の行動すべてが愛情表現としてつながって見えてくる。

読者体験|素直になれない恋心のもどかしさ

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出典:グリコーゲン「酩酊とうたかた」

『酩酊とうたかた』を読んで感じるのは、大人になるほど本音を伝えることは難しくなるという現実だ。

仕事では結果を出し、自信に満ちているように見える麻宮ですら、恋愛では相手の視線一つに心を揺らしてしまう。

その等身大の姿が、彼女をぐっと身近な存在に感じさせる。

また、岡辺が他の女性社員と話す姿に麻宮が密かに嫉妬していたことが見えてくると、それまでのライバル関係も違った印象を帯び始める。

競い合う姿の裏にあった恋心へ気付いた瞬間、二人のやり取りすべてが微笑ましく感じられる構成は見事だった。

まとめ|麻宮が酔いに隠した本当の気持ち

グリコーゲン「酩酊とうたかた」の紹介画像
出典:グリコーゲン「酩酊とうたかた」

『酩酊とうたかた』は、麻宮と岡辺の関係を通して、強がる人ほど誰かの前では素直になれないという恋愛心理を描いた作品だった。

ライバルとして張り合い続けた時間も、遠回りだったからこそ互いを深く知るきっかけになっている。

本音は時として言葉ではなく、小さな行動の中に表れるのだと教えてくれる。

素直になれず気持ちを飲み込んでしまう時に、そして誰かの不器用な優しさをもう一度思い返したくなった時に、静かに読み返したくなる一作である。

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