おぷろていん先生による『昨日のえっち覚えてないの?』は、完璧でいなければならない大人が、感情を取り戻していく過程を描いたラブコメ作品だ。仕事一筋で生きてきた上司・宗方と、真っ直ぐに好意を向ける新入社員の此ノ崎。一夜の出来事から始まる物語ではあるが、本作の魅力は刺激そのものではなく、理性で閉じ込めていた感情が崩れていく瞬間にある。強く見える人間ほど、誰かに弱さを見せるのが苦手なのだと実感させられる。
商品価格を含め情報の一切は2026年6月17日現在のものです。
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キャラクターの魅力|宗方と此ノ崎が抱える不器用な温度差

宗方は職場で鉄仮面と呼ばれるほど感情を表に出さない人物だ。
しかし、その内側には失敗を恐れる臆病さと、他人に期待しない癖が染みついている。
一方の此ノ崎は、そんな宗方へ真正面から好意をぶつけてくる存在。
年下らしい勢いはあるが、ただ軽薄なわけではなく、宗方自身をきちんと見ている誠実さがある。
構成と演出|記憶が曖昧な朝から始まる心理劇

本作は、宗方がホテルで目を覚ます場面から始まることで、一気に読者を感情の揺れへ引き込んでいく。
重要なのは、その後の展開が単なる勢い任せではなく、宗方が自分の気持ちと向き合わされる時間として描かれている点だ。
此ノ崎の好意を酔った勢いで片づけようとする宗方。
しかし、此ノ崎は逃げずに言葉を重ね続ける。
その積み重ねによって、宗方の理性が少しずつ崩れていく構成が丁寧だ。
読者体験|強がっていた大人が崩れる瞬間の愛おしさ

読者は宗方視点を通して、「ちゃんとしていなければならない」という圧力に共感させられる。
だからこそ、此ノ崎の真っ直ぐな感情が余計に眩しく映る。
本作の面白さは、年下側が単に振り回すのではなく、安心して弱くなれる場所を宗方へ作っていく点にある。
強くあろうとしていた人間が、誰かの前でだけ肩の力を抜けるようになる。
その変化が非常に柔らかく、後味として残っていく。
まとめ|昨日のえっち覚えてないの?が描く理性の奥にある本音

『昨日のえっち覚えてないの?』は、大人として積み上げてきた理性や立場が、誰かの好意によって少しずつほどけていく物語だ。
人は時に、弱さを見せた瞬間にこそ、本当の感情へ辿り着けることがある。
完璧でいようとして疲れてしまった時に、誰かに甘えてもいいという感覚を思い出させてくれる一作。
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