つかこ先生による『いつもの屋上』は、何気ない昼休みの時間を通して、少しずつ心の距離が縮まっていく青春ラブストーリーだ。ゲーム課金で生活が荒れ気味の鈴木と、そんな彼を放っておけずお弁当を作る笹原。派手な出来事が起きるわけではないが、“食事を共にする時間”そのものが二人の関係をゆっくり変えていく。本作には、若さゆえの不器用さと優しさが静かに滲んでいる。
商品価格を含め情報の一切は2026年6月13日現在のものです。
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キャラクターの魅力|笹原と鈴木にある不器用な優しさ

鈴木はだらしなさや未熟さを抱えた人物だが、笹原から向けられる好意には真っ直ぐ喜べる素直さを持っている。
一方の笹原は感情を大きく表に出すタイプではない。
しかし、お弁当を作るという行動そのものが、彼女なりの精一杯のコミュニケーションになっている。
特に、母親との過去が彼女の恋愛観に影を落としている点が印象的で、“誰かを好きになる怖さ”が繊細に描かれている。
構成と演出|“いつもの屋上”が変化していく時間

本作では屋上という場所が、二人だけの居場所として機能している。
最初はただ昼食を食べるだけだった空間が、次第に感情を共有する場所へと変化していく流れが自然だ。
特に、鈴木の告白をきっかけに笹原がお弁当を作らなくなる展開は、“関係が変わる怖さ”を象徴している。
しかし、それは拒絶ではなく、彼女自身が恋愛を理解しようともがいている時間でもある。
その間の静けさが心に残る。
読者体験|誰かを好きになる“練習期間”を見守る感覚

読者は鈴木の視点を通して、相手の行動一つひとつに意味を探してしまう青春特有の感覚を追体験することになる。
同時に、笹原側にも“どう接すればいいのかわからない”戸惑いが存在しているため、単純な両想いにはならない。
その不器用さが妙にリアルで、派手ではないのに感情が長く残る。
関係が進むことより、“考え続けてしまう時間”そのものが魅力になっている作品だ。
まとめ|いつもの屋上が描く“言葉にならない好意”

『いつもの屋上』は、誰かのために作るお弁当や、一緒に過ごす昼休みのような、小さな行為の積み重ねで関係が形作られていく物語だ。
恋愛は時に、好きだと伝える瞬間より、その前後のぎこちない時間の方が強く記憶に残ることがある。
誰かの優しさを思い返したくなった時に、ふと読み返したくなる一作。
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